番組検証結果 
ザ・スクープスペシャル(2002年11月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点 備考
ザ・スクープ
スペシャル
「メルボルン事件10年目の真実
〜生出演!麻薬運び屋にされた日本人が
 無実の叫び」
11月24日 96点/125点 76.8

「ザ・スクープ」HPへ 番組検証結果 (2002年11月分)へ

・番組名 ザ・スクープ(テレビ朝日、年に数回)
・番組タイトル 「メルボルン事件10年目の真実
〜生出演!麻薬運び屋にされた日本人が無実の叫び」2002年11月24日放送
・内容
(番組HPより)

2002年11月6日、3人の日本人男性がメルボルン郊外の荒野に建つ刑務所から仮釈放された。19日には、別の女子刑務所から日本人女性1人も出所予定である。現地のマスコミからジャパニーズ・マフィアのレッテルを貼られた彼らは、10年にわたって獄中から「えん罪」を訴え続けてきた。
日本人観光客に仕掛けられた危険なワナ・・・そのあまりに不条理で過酷な運命。そして、事件の裏には驚くべき真相が隠されていた!
今から10年前の6月、オーストラリアのメルボルン空港で二重底になったスーツケースからヘロイン13kgが発見され、日本人旅行者5人が逮捕された。実は、5人は経由地のマレーシアでスーツケースを盗まれており、問題のスーツケースは現地ツアーガイドが用意したものだった。5人の日本人は警察の取り調べや裁判で無実を訴えるが、警察の決めつけ捜査や通訳の不備などもあって予想だにしなかった有罪判決を受ける。
番組では1年以上前から、冤罪を訴える彼らの獄中インタビューや無実を信じ続ける家族の様子を継続取材するとともに、今回、仮釈放による10年ぶりの帰国と家族との感動的な対面に独占密着した。
さらに、独自に3度にわたるオーストラリア・マレーシア追跡取材を行い、事件の鍵を握るマレーシア人ツアーガイドの証言など驚くべき事件の真相をつかんだ!
そこに浮かび上がった恐るべき国際シンジケートの存在。日本人観光客はなぜ麻薬の運び屋とされてしまったのか?帰国後もなんとかしてえん罪を晴らしたいと訴える彼らをスタジオに招き、いつ私たちの身の上に降りかかってもおかしくないこの悲劇の裏側を徹底検証する。

・総合得点 96点/125点
・構成 20点/125点
・論理性 20点/125点
・新奇性 23点/125点
・広範性 16点/125点
・表現 17点/125点
 
草野厚
・構成 10年前に起きた豪州での冤罪と思われる事件について、事件の背景、真相など、仮釈放された日本人はじめ関係者にあたり分析した番組は興味深かった。特に、冤罪は、密室のなかでの取調べなど、非公開な部分が多く、立証が難しいが、番組では、捜査VTR資料なども使って、視聴者に説得力をもって説明していた。ただ、やや、ジュネーブの人権規約への提訴、あるいは、ずさんな捜査、裁判の背景について、突っ込みが不足していた。また、10年ぶりに仮釈放で帰国した日本人の気持ちの部分にも焦点をあてたために、問題解明という点で、やや、焦点がぼけた感じは否めない。 4点
・論理性 一方的な捜査が、通訳の誤訳など、コミュニケーションの問題から生じていたことを捜査の模様をおさめたVTRで、また、最も重要な証人に対して十分な調べを行っていなかったことも取材で明らかにしている。また、事件、当時、豪州警察は、麻薬取り締まりに力を入れていたにもかかわらず、成果があがっていなかったために焦っており、そこにでっち上げの可能性があったことなどを、地元、メディアの証言なども得て明らかにしている。ただ、この部分は、視聴者からすれば、興味があるところで、もう少し、つっこんでほしかった。たとえば、豪州警察や、当時、事件をあおったメディアは、どうみているかなどである。 3点
・新奇性 豪州側の取調べの様子がなぜ、VTRでメディアによって公開されるのか、その理由がわからなかった。なにか、それを可能にする情報公開のような制度があるのだろうか。いずれにせよ、このVTRだけでも、新奇性は5をあげられる。 5点
・広範性 重要と思われる関係者には、最重要な証人であるチャーリーを含め接触しており、大変な取材力だと思った。論理性でも述べたように、ここに、豪州政府側、それに日本政府のコメントを含めたら、もっとよかった。仮釈放された二人の日本人のスタジオ生出演には、重複部分が多かったので、その他の人々へのインタビューを紹介する余裕はあったと思う。 4点
・表現 冤罪を晴らしたいという日本人の仮釈放の姿に焦点を当てるというのはわかるが、やや、番組全体が目指す冤罪の構図解明との関連で、違和感を覚えた。望郷の念にかられた10年ぶりの、日本人の涙を追っかけすぎた感じがする。 3点
 
小野塚征志
・構成 過去の経緯を再整理し、論点を示した上で、現況を伝える構成は大変わかりやすかった。ドキュメンタリー番組の教科書的な構成だったといえるのではないか。 5点
・論理性 麻薬を密輸したとされる日本人だけではなく、現地の関係者やチャーリーの証言を得るなど、説得力のある内容だった。証言を得る際に撮影されたビデオテープや当時の新聞記事など、必要十分な証拠を示すだけではなく、何ら見に覚えのない罪によって収監された人々の悲痛が伝わってきた。 5点
・新奇性 メルボルン事件については、この番組の独壇場といえるのではないか。事件が発生して以来、丹念に取材を続けてきた成果が番組全体にあふれていたと思う。特に事件の最重要人物であるチャーリーの証言を得たことは有益だった。 5点
・広範性 麻薬を密輸したとされる日本人だけではなく、様々な関係者の証言を紹介したことは評価できるが、警察官、検察官、裁判官、通訳など、彼らを裁いた側の人々の証言がなかったことは残念だった。また、外務省や現地の大使館の対応など、日本人が外国で身に覚えのない罪に問われたとき、どこに駆け込むべきかを示唆する情報も紹介して欲しく思った。 3点
・表現 このような事件を報じる際、取材日や取材場所が明示された意義は大きい。また、国連人権規約委員会など、一般には馴染みのない組織の仕組みなどを図示して説明したことは有益だった。この事件のように、10年以上に及ぶ経緯があるようなものについては、年表を示した方がわかりやすいと思う。 4点
 
小峯弘靖
・構成 麻薬(ヘロイン)をマレーシアからオーストラリアへ密輸したという嫌疑から、逮捕、裁判、有罪判決を受けた日本人4名の事件を追った番組である。マレーシアとオーストリアへの取材を通して、10年前(92年)に起きた事件がどのようなものであったかがわかる。また、今回と過去数回に渡って被害に会った日本人に直接取材を行っており、彼らが勾留中にどんな生活をさせられていたのかもわかる内容になっていた。しかし、もっぱら日本人の被害について焦点を当ててあり、「はめられた」とされる人たちに「甘さ」や「落ち度」はなかったのかは指摘されていなかった。 3点
・論理性 番組では「決めつけ捜査とずさんな通訳」というフリップがあった。「決めつけ捜査」については、現地テレビ局「チャンネル9」のロス・コータード記者に取材を行い、警察は検挙実績がほしかったという可能性があるという言葉を引き出している。「ずさんな通訳」については取り調べ中のビデオを放映し、通訳の質の悪さがわかる。しかし、決めつけ捜査については、他のマスメディアに所属する複数の記者への取材も行うべきであった。また、ずさんな通訳については、正式な資格を持っていなかった人物が通訳をしたとされているが「正式な資格」とは何を意味するのか具体的に説明をする必要がある。 3点
・新奇性 事件の発端となったスーツケースが盗まれたクアラルンプールの日本料理レストラン(サクラ)経営者とその近所の売店主へのインタビュー。実際にスーツケースが盗まれたという証拠になるのではないか。 4点
・広範性 事件の鍵を握るとされる最重要人物の名前がチャーリーであったが、なぜフルネームではないのかを知りたいところである。日本人の中で2名(B子、C子)が逮捕されていなかったのはなぜなのか。民間調査員のジョン・ブレイシー氏とは誰なのか、そして民間調査員についての説明が必要であった。事件を取り上げた新聞記事の拡大版がスタジオ内で撮影されていたが、どの新聞なのかの提示がほしい。また、同記事を書いたとされるトーマス・テイラー記者への取材もほしいところである。 2点
・表現 日本の弁護士たちが今回の事件に関して、国連人権規約委員会に個人通報を行うことに関して、チャートにまとめていたのはわかりやすい。チャーリー氏への電話インタビューが行われる前、クアラルンプールと思われる「夜の雷のシーン」が出ていたが、番組の中で何の意味があるのか不明であった。 3点
 
土井系祐
・構成 10年に及ぶ収監から仮釈放された2人の話が、生出演ということもあり、非常に説得力のある映像だった。時系列で整理されており、わかりやすくさらに事件の深層取材までされていた。 4点
・論理性 現地警察における取調べ記録ビデオ・カセットテープの存在は、現地通訳のあまりにひどい様子をつぶさに示している。主犯に近いところにいると思われる、マレーシアのシンジケートの一員のチャーリーという人物の証言によっても、内容が裏付けられている。 5点
・新奇性 以前からなぜ日本大使館が犯罪者とされた日本人の身を守らないのかというような話が当番組でされていたが、今回は全体像をわかりやすく伝えており、独自の重大な証言(麻薬取引シンジケートの証言)も得られており、画期的なものだった。 5点
・広範性 この事件が現地で「日本人ヤクザ」と新聞報道された時点から、日本大使館はどのような処置をとってきていたのか?また、オーストラリア側の警察官、裁判官らが、性急な裁判を行った背景として、オーストラリアの外国人犯罪全般の問題点とは何か?など、周辺部分の情報も欲しかった。 4点
・表現 生出演のスタジオでの表現も抑制されており、非常に公正な印象をもった。ただ、このような事件の再発を防止する意味でも、日本大使館への連絡や弁護士の要求、最低限必要な英語についての解説など、参考になるものの紹介などもあったらよかったのではないか。 4点
 
古川園智樹
・構成 前半部分では、被害者(日本人)のインタビュー(音声のみ)と資料映像を基に事件を再現している。後半部分では、仮釈放となった数人が日本に帰国するのを独占密着し、さらにスタジオで心境を語ってもらっている。前半部分は、事件のポイントを繰り返し説明しているので、非常にわかりやすい構成であった。後半部分もわかりやすい構成であった。 4点
・論理性 事件の鍵をにぎる中国系の人物との接触に成功しており、彼の証言も得ているので、非常に論理的である。ただし、なぜこのような冤罪が生じてしまったのかという点については、オーストラリアの当局者の説明も必要である。恐らく取材はしていると思われるが、番組内ではその情報は提供されていなかった。被害者が冤罪である可能性がかなり高いことを明らかにできているので、その部分の検証もして欲しかった。
4点
・新奇性 この事件そのものは、この番組で何度か取り上げているのであまり新奇性は無い。しかし、事件の鍵を握る中国系の人物との接触に成功し、そのインタビューを得ていることは非常に新奇性が高いと言えるだろう。また仮釈放された日本人の独占密着に関しても新奇性が高いと言えるだろう。
4点
・広範性 前半部分の事件の再現に関しては、鍵を握る中国系の人物のみならず、一緒に旅行をした人物や飲食店周辺の人物等からもインタビューを行っており、情報の広範性はかなり高い。しかし、なぜそのような冤罪が生じたのかという点については、オーストラリア当局者へのインタビューは無く、当時の新聞などの2次情報に頼っており、もう少し広範な情報を集める必要がある。プラスマイナス3点である。
3点
・表現 事件の再現は、現場の映像を示す等、非常にわかりやすい表現がなされていた。しかし、取り調べや裁判の再現に関しては、キャスターが感情的になっていたり、検察官の声があまりに悪役っぽくなるなど、表現が若干行き過ぎていたのではないかと思われる。もう少し冷静な表現をしたほうが、より説得力が増すと考えられる。
3点
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