| ・番組名 |
ザ・スクープ(テレビ朝日、土曜日、10:50-11:45) |
| ・番組タイトル |
テロ対策法案衆院通過特集Part1 「”自衛隊の後方支援”を総力検証」
2001年10月20日放送 |
| ・内容 |
テロ対策法案が衆議院を通過した。誰が、どういう目的でこの法案を通したのか。前半では、自衛隊への取材、田岡朝日新聞論説委員へのインタビューを中心に、テロ対策法案の内容の是非を問う。 |
| ・総合得点 |
55点/100点 |
| ・構成 |
18点/25点 |
| ・論理性 |
12点/25点 |
| ・広範性 |
12点/25点 |
| ・演出 |
13点/25点 |
| |
| 草野厚 |
| ・構成 |
9月11日の同時多発テロ発生後の、日本の対応のうち、自衛艦派遣への疑問を提起した番組。全体として、批判的な角度からの取材だが、時期は違うとはいえ、話題となった輸送艦、イージス艦の内部、艦長へのインタビューで、本来の目的がどこにあるかを引き出しており、それと、今回、政府が説明した派遣目的のずれを紹介することで、真の目的が、日米同盟の観点からのパフォーマンスであったことを明らかにしている。全体として、この分野に、多少の知識がある人には、有益な番組だったと考えられる。 |
4点 |
| ・論理性 |
証拠がきちんとしているために、論理的には、説得力がある。以下のような展開。
まず、陸上自衛隊を運ぶおおすみ(輸送艦)にカメラが入り、戦車や隊員を着上陸するか、医療設備の中身などを公開。本来の目的がそうであるために、物資輸送は1000トン程度(2万トンの商船であれば、2万トン)しか不可能。そこで、別の目的があるのではないかと疑問を提示する。番組は、パフォーマンスだとの朝日編集委員の田岡のコメントを紹介。ついで派遣されるとされた情報収集艦、イージス艦の内部にカメラが入り、発射されたミサイルを迎撃すること(そのために電波情報は必須)が最大の目的であるとのコメントを艦長からひきだす。つまり対空防衛のための船(米国は59隻)であり、日本が、その目的で、今回、海外に派遣する意味は、少なくとも軍事的にはないと述べる。
|
4点 |
| ・広範性 |
情報はこれまで収集した艦内部の様子など豊富であり、十分だったといえよう。しかし、仮説にこだわるあまり、仮設への異論は、志方氏のみであり、ややバランスを欠いた気がする。公式的な説明であれ、もう少し、多様性があってもよかったのではないか。 |
3点 |
| ・演出 |
ディレクターの自衛艦内部の幹部へのインタビューは、こうした(つまり、自衛隊批判)かたちで素材が使われるとは、(当事者にしてみれば)夢にも思わなかったであろう。今回の場合、貴重な証言が過去の取材に残っていたということになるが、取材のありかたという意味では、考えさせられるものを含んでいた。 |
3点 |
| |
| 小野塚征志 |
| ・構成 |
自衛隊の後方支援の実態を検証するとのことだったが、実際には自衛隊の海外派遣を徹底的に批判する内容だった。その点では一貫していたわけだが、そうであるのなら、中立性を装うことなく、立場を明らかにした上で主張すべきである。 |
2点 |
| ・論理性 |
民間の商船と自衛隊の輸送船の輸送能力を単純に比較するなど、その分析枠組みには疑問を覚えた。米軍だけで対応可能な範囲なのにもかかわらず、自衛隊を派遣する意味はないと述べていたが、外交関係を考えた場合、筋の通る議論ではない。可能な限り自衛隊の船舶を派遣すべきではないとする意識が背景にあったようだが、そう考えるのであれば、その根拠も含め、はっきり述べるべきである。中立的な立場からの指摘であるかのように振舞う番組の姿勢は問題である。 |
1点 |
| ・広範性 |
自衛隊の海外派遣に肯定的な志方氏と田岡氏の2人に解説させた点は評価できる。しかしながら、田岡氏の否定的な見解のみを取り上げ、結論付ける構成を考えれば、決して公平性が高いとはいえない。自衛隊の海外派遣についても、軍事的な視点から論じているばかりで、外交面での分析がなかった。 |
2点 |
| ・演出 |
印象的な音楽、イメージ映像は気になった。ただし、全般的には控え目な演出で、意図的なものはなかったように思われる。 |
3点 |
| |
| 小峯弘靖 |
| ・構成 |
昨年の取材に使った輸送艦「おおすみ」とイージス艦「みょうこう」の艦内映像と艦長のインタビューは、両艦がどのような役割を担っているのかを理解する上で役に立つ。自衛隊の派遣に賛同する側(志方氏)、批判する側(田岡氏)双方の意見を聞くことができ、バランス感覚のある構成であった。 |
5点 |
| ・論理性 |
「おおすみ」と「みょうこう」の派遣には、合理的・軍事的意味はないとのことであったが、担当ディレクターの説明にもう少し論理立てなものがほしい。 |
3点 |
| ・広範性 |
物資の輸送であるならば、民間の輸送船の方が合理的であるとのことであった。とすれば、民間商船会社の立場についても知りたい。 |
3点 |
| ・演出 |
「テロ対応策7項目」の表は、コンピュータによる表示(CG)の方が見やすい。護衛艦の映像に勇ましいBGMが流れているのは恣意的ではないか。ミサイルの発射シーンがあるが、取材当日にされたのか、それとも資料映像なのか明確にする必要がある。イージスシステムのコンピュータ・グラフィックスは、わかりやすい。 |
3点 |
| |
| 大沼健太郎 |
| ・構成 |
田岡氏へのインタビューを中心に、「自衛隊派遣には軍事的に合理性がない」として、テロ採択法案の内容を批判している。 |
4点 |
| ・論理性 |
自衛隊派遣が軍事的に意味がない、という論拠は田岡氏へのインタビューだけである。有識者の意見を集めずに、田岡氏の意見を絶対的なものとして扱う点に違和感を覚えた。また、またイージス艦派遣に意味がないのであれば、日本の国際協力としての観点から他の策を提示すべきではないか。 |
2点 |
| ・広範性 |
田岡氏のインタビューだけでなく、他の有識者にも意見を聞くべきであった。また日本側の立場だけでなく、アメリカが軍事的に何を求めているのかという視点も必要であろう。 |
2点 |
| ・演出 |
田岡氏インタビューの画面が必要以上に暗い。テロ法案の内容が問題であるとの印象を強く与えかねず、視聴者を誘導しようという意図が見え隠れする。また、イージス艦などの取材がいつ行われたのかが気になった。過去の同番組で、似たような取材を見たことがある。 |
2点 |
| |
| 土井系祐 |
| ・構成 |
輸送艦おおすみ、イージス艦の内部の様子など、貴重な映像が使われており、興味深いが、今回の自衛隊の後方支援とは、そもそもどういうものなのか、なぜ、インド洋にいくのかという枠組みの説明もなく話が進んでおり、「そもそも行く必要がない」という前提で作られているように思われ、わかりずらい。 |
3点 |
| ・論理性 |
両艦の機能の説明後、なぜ、派遣する必要があるのかという点では、機能面のみで合理性について、スタジオの3名による判断がくだされる。イージス艦が出ることは、本当に軍事的、合理的な意味がないのか、インタビューとディレクターの取材のみを根拠にするには弱い。 |
2点 |
| ・広範性 |
元自衛官の志方教授と田岡氏のインタビューを並べることで、公平性を装っているが、スタジオでは、田岡氏のコメントだけを引いて「意味が無い。軍事的な合理性がない」ということを、キャスターと玉川ディレクターら3人で繰り返し問答しており、明らかに、志方教授の意見は無視されている。 |
2点 |
| ・演出 |
スタジオの鳥越キャスターが「これは、国民一般われわれの疑問ですけど」と一般国民の代表としてコメントし、長野キャスターがボードを使って「この一文に謎を解くカギがあります」と教師のように誘導する形式は、クイズ番組の脚本を読み上げているようで、違和感を感じた。 |
2点 |
| TOP↑ |
| ・番組名 |
ザ・スクープ(テレビ朝日、土曜日、10:50-11:45) |
| ・番組タイトル |
テロ対策法案衆院通過特集Part2 「自衛隊海外派遣”決定”の裏側全公開」
2001年10月20日放送 |
| ・内容 |
軍事的には自衛隊派遣に意味がないということを前提に、ではなぜ自衛隊が派遣されるに至ったのかを、官僚、党、官邸、アメリカの各アクター間の働きを注目することで明らかにしている。 |
| ・総合得点 |
48点/100点 |
| ・構成 |
15点/25点 |
| ・論理性 |
9点/25点 |
| ・広範性 |
13点/25点 |
| ・演出 |
11点/25点 |
| |
| 草野厚 |
| ・構成 |
自衛隊が海外に派遣されるまでの決定の裏側を全公開するというサブタイトルにふさわしく、詳細に裏側を取材している。しかし、よほど真剣にみるか、録画によって、見返さなければ、全体像をつかむことはむずかしい。要は、自衛隊のイージス艦が米国支援のために、派遣されそうになったのは、日本側の官僚の独走ではないかとの疑問を提起したかったのだろう。ただ、途中で、show the flag問題についての説明が入ったりしているために(これも、官僚の独走とのニュアンスがある)、わかりにくくなった。 |
2点 |
| ・論理性 |
「情報収集のために自衛艦を速やかに派遣する」という、幹事長、若手防衛族も違和感を感じたこの文言が、誰によって、どのような理由で、入れられたのかを検証することで、問題提起を具体化していく。古川官房副長官のリードで、外務、防衛などのトップが、湾岸戦争の二の舞をしてはならぬという意識から、これを決め、官房長官にあげた。イージス艦を念頭にしたものであった。米国駐在の柳井大使も、積極的な支援を行うために、アーミテージ国務副長官と会って、話をつめた。このあたりまではわかりやすいが、結局、メディアが米側の日本への期待のたかさについて報じることで、次第に、政治家やメディアが騒ぎ始めることになり、結局、イージス艦の派遣は見送られることになった経緯は、
複雑すぎて、わかりにくかった。政策を批判しているのか、政策決定のプロセスを批判しているのかが、はっきりしない。多分両方だろうが、それにしてもてんこもりの内容だ。コメンテーターの大学教授も登場するまでにさまざまな情報がありすぎて、整理しきれていなかった。
|
2点 |
| ・広範性 |
関係者が顔を揃えており、国会での論戦や会見などでの首相の発言もフォローするなど、
十分なつくりだと思った。しかし、一人一人の発言が短く、インタビューに答えている人は、つまみぐいされたのではないかと考えたのではなかろうか。
|
3点 |
| ・演出 |
この番組に限らないが、インタビューされた人々の顔が、クローズアップされすぎて、全体像が伝わってこない。テロップでは、強調したい発言部分が白抜きになっていて、その点はわかりやすかった。ナレーションが、もったいぶって話している気がするのは、気のせいであろうか。 |
3点 |
| |
| 小野塚征志 |
| ・構成 |
政策決定の裏側の動きを追うという番組の姿勢ははっきりしていたが、わかりにくい内容だった。年表を示す、各アクター間の関係を明示するなど、動きを整理するような工夫が必要だった。 |
3点 |
| ・論理性 |
5人の官僚をキーアクターと捉え、その動きを丁寧に追ったことは有益だった。しかし、本当に彼らがキーアクターだったのか、その点は不明確だった。また、番組後半で鳥越キャスターは海上自衛隊の現場の暴走を訴えていたが、推論に過ぎない。番組が指摘した政策過程の構図は単純なものだったが、現実がその通りであったのか、疑問を覚えた。 |
2点 |
| ・広範性 |
政策過程には問題があったとする前提に立った検証だったように思われる。なぜなら、適切な政策過程だったとする意見がまったく紹介されなかったからである。ただし、インタビュー対象者の数は多く、最低限の広範性は確保されていたともいえる。 |
3点 |
| ・演出 |
印象的な音楽、カメラカット、ナレーションの言葉が気になった。危機感を煽る意図があったのではないかと思われる。事件が起きた日を字幕で明らかにした点は評価できるが、年表を表示すれば、よりわかりやすくなったと思われる。 |
2点 |
| |
| 小峯弘靖 |
| ・構成 |
今回の法案の青図を描いたのは誰なのかということで、法案成立の過程、特に行政側の動きがわかる。「湾岸戦争の轍をふんではならない」という理由から、官僚が積極的に動いていたが、この番組を見るかぎり従来型の官僚主導による政策立案であった。ただ、小泉内閣は、政治任命者もいるので彼らの動きも知りたかった。 |
4点 |
| ・論理性 |
イージス艦の艦長に対し、担当ディレクターは「自衛隊に対する拒否感がかなりの割合である」という指摘であったが、拒否感がどれくらいの割合なのか具体的な数字の提示がほしい。また、「拒否感」とは一体何を意味するのか定義づけも必要である。そして、そのことがどうして「さびしくはないですか」という質問につながるのか意味が不明である。 |
1点 |
| ・広範性 |
江田氏が「国会でのシビリアンコントロールが必要」というコメントをされていたが、実際に現状の国会でシビリアンコントロールが可能なのかという見解も聞きたい。今回は行政府(首相官邸)に焦点を当てていたが、立法府が有事に対して何ができるのかの分析が望まれる。 |
2点 |
| ・演出 |
BGMがアクション映画のサウンドトラックのような構成となっており、恣意的である。山崎幹事長のテロップに「防衛族」とあったが、防衛族とは何なのか短い説明が必要である。また、パート1もそうであったが、長野氏のジェスチャーはオーバーリアクションの感が否めない。もう少し、冷静な対応が必要なのではないかという印象を持つ。 |
3点 |
| |
| 大沼健太郎 |
| ・構成 |
テロ対策が迅速に練られた経緯を、政策過程分析的に明らかにしている。しかし敬意を明らかにすることが目的なのか、その結果として出来た対テロ法案の内容を吟味することが目的なのかは不明確である。 |
3点 |
| ・論理性 |
迅速に議論が行われたことは、評価されるべき点もあるはずだが、迅速な議論が結果として稚拙なものとなったという議論がなされている。初めからテロ対策法を批判するという姿勢があったのではないか。 |
2点 |
| ・広範性 |
対テロ法案に関与した官僚、官邸、党、アメリカ大使などに取材をしている。政策過程を明らかにする上では、それなりの取材を行っている。しかし法案の中身の議論については、江田氏に一任されており、十分な広範性を持っているとは言えない。 |
3点 |
| ・演出 |
不安を煽るようなBGMが多用されている。このような演出は視聴者を誘導しかねない。 |
2点 |
| |
| 土井系祐 |
| ・構成 |
湾岸戦争シンドロームになっている古川貞二郎官房副長官を中心とした5人の官僚によってテロ対策協議がなされ、その対策に乗っかる形で、空母キティホークと護衛艦が並んで出港するなど、防衛庁の制服組がシビリアンコントロールの枠を越えて行動したのではないかという推論。鳥越キャスターが述べているところからすると、5人の官僚の中の一人と思われる取材元の話を中心に作られたストーリーかと思われるが、後半に江田早大教授が、今回の法律が国会の事前承認がない点など、歯止めが利かない点を指摘。 |
3点 |
| ・論理性 |
米国のパターソン氏が5年前に書いた論文に基づき、官僚主導で「自衛艦派遣」が決まった点が強調されている。しかし、なぜ、米国が自衛隊にインド洋上まで来て欲しいと考えているのかという点など、本来明らかにされるべきところではなく、リーク元の官僚が「自分がやった」という自慢話をしているような部分のみが、クローズアップされているように感じられる。 |
2点 |
| ・広範性 |
スタジオでの江田氏の話は全体的に冷静でよかったが、一人のみの話で、一方的な印象が残った。米国やEU諸国などが、今回のテロ事件にどのように対応しているのかといった事例こそ、もっと冷静に伝えるべきではないか。 |
2点 |
| ・演出 |
「戦時に他国の領土へ(赤色字幕)」「自衛隊派遣が可能に(黄色字幕)」「シビリアンコントロール(白色字幕)「国会事前承認認められず(青色字幕)」がこれでもかと映され、不安を煽る音楽が背景に流れ、小泉首相がテロ対策での記者会見しているところは、コマ落としされた不自然な動きの小泉首相が喋っている。背景に銃弾らしき効果音。突然、自衛隊員が叢を走っている映像が盛り込まれる。その他にも、映像では言っていない言葉が字幕に書かれているケースなど、行き過ぎでは。 |
1点 |
| TOP↑ |