番組検証結果 
NHKスペシャル(NHK)
(2002年3月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点 備考
NHKスペシャル 「東京下町 お金がまわらない
 〜信用金庫と零細企業」
3月30日 87点/125点 69.6

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・番組名 NHKスペシャル(NHK、土日、21:00-21:50)
・番組タイトル 「東京下町 お金がまわらない 〜信用金庫と零細企業」 2002年3月30日放送
・内容
(番組HPより)
町工場がひしめく東京の下町・墨田区。信用金庫の融資が最近伸びない。不良債権処理のため作られた新たな金融ルールによって、貸したくても貸せなくなったのだ。日本の製造業を支えてきた零細企業が追い込まれた現実を信金の窓口を通して描く。
・総合得点 87点/125点
・構成 19点/25点
・論理性 14点/25点
・新奇性 20点/25点
・広範性 14点/25点
・表現 20点/25点
 
草野厚
・構成 墨田区を例に、中小零細企業の苦境を取材。月末の信用金庫の集金状況。融資額が落ち込み、金利収入が入らないのが悩み。支店長と、二つの融資企業が主役だが、いかに、中小企業が、融資基準を厳しくされて、困っているかよくわかった。三名の主役を通して、たんたんと現状を語らせている。ただ、敢えて、処方箋を描かなかったのだとは思うが、現状レポートレベルで留まった感じがした。 4点
・論理性 信用金庫の中小企業融資が、金融庁の検査マニュアルがあまりに厳しいために、とどこっている状況が、二つの企業の内部事情を紹介しながら明らかにしている。この状況をみると、信用金庫の理事長がいうように、大企業の検査マニュアルをそのまま中小企業にあてはめることの問題を感じた。この番組の最大の特徴は、主役である信金、二つの企業の内部事情が明らかにされたことであり、貴重な取材であった。しかし、処方箋を視聴者に委ねてしまった点については賛否両論あるだろう。 4点
・新奇性 繰り返しになるが、カメラを信金内部、二つの企業に奥深く入れたことが、この番組の最大の特徴だった。しばしば、融資を断られて中小企業が苦境にたっていることが報じられていたが、この取材で、具体的にそれを検証できた。 5点
・広範性 番組の性格上やむを得ないとはいえ、政府側、大金融機関などからの批判、コメントがあれば、もう少し、立体的な内容になったのではないか。 3点
・表現 この問題の深刻さとは裏腹に、時折流れる、軽快なBGMは、中小企業の、「なんとかなるさ」というようなたくましさと感じさせる役割を果たしていた。暗い内容なのに、それほど悲劇的な感じがしなかったのは、この音楽のせいであろう。これが、制作者側の意図であるとすれば、なかなかのものとである。 5点
 
小野塚征志
・構成 具体的な事例を通じて現状を伝える構成はわかりやすかったといえる。2つの事例を交互に紹介することにより、時間的経過を理解することも容易になった。ただし、2つの事例のどちらについて説明しているのか、若干混乱することもあった。 4点
・論理性 貸し手と借り手の双方の事情を掘り下げて紹介することにより、具体的に問題を理解することができた。「大手銀行の杜撰な融資」を強調していたが、杜撰な融資は中小の金融機関も行っていたはずである。他にも、いくつか誤解を招くような解説があった。 2点
・新奇性 中小零細企業の資金繰りの悪化については、多くのメディアが報道している。しかし、その多くは概論を述べているだけであり、特定の企業に密着して実情を伝えることは少ない。この番組は具体的な事例を取り上げ、中小零細企業の実情だけではなく、そういった企業に融資を行っている金融公庫の実情をリアルに伝えていた。 5点
・広範性 特定の企業に対象を絞って実情を伝える意義は理解できるが、2つの事例を紹介するのであれば、もう少し条件が異なる事例にした方がよかったのではないか。また、大手金融機関が中小零細企業に融資している事例や貸し倒れが発生した場合の事例なども知りたく思った。 2点
・表現 取材日を字幕で表示したことは有益だった。債務者区分などを図示して説明することにより、理解が容易になった。イメージ映像ではなく、実際に取材を行った際の映像を中心に表現したことは評価できる。 4点
 
小峯弘靖
・構成 借りたくても借りられないという資金繰りあえぐ零細中小企業。そして、貸したくても貸せない信用金庫の実態を墨田区に生産拠点を置く西澤製革と矢作工業、そして日興信用金庫墨田支店を密着取材することで、彼らの努力と苦悩を浮かび上がらせている。金融機関が取引に慎重になっているのは、金融庁による「国の金融検査マニュアル」の存在である。また、中小企業が資金を欲しているのは、取引先の大手企業による「価格の低下と仕上げの高精度の要求」であることがわかる。融資が単に中小企業と信用金庫間の問題ではないのであって、事の深刻さを理解することができた。 5点
・論理性 「国の金融検査マニュアル」が零細中小企業にも適用が可能なのか、金融庁の見解を知りたいところである。また、大手企業が価格の低下と仕上げの高精度を要求している理や背景も知りたいところである。 3点
・新奇性 日興信用金庫墨田支店がどのようにして融資を決定するのかその過程を密着取材によって知ることができる。同時に、中小企業の経営者達を密着取材することによって、彼らの企業努力も知ることができた。 5点
・広範性 全国の破たん金融機関のCGがあったが、具体的にどのくらいの数なのか提示がほしい。また、この番組で取り上げられた企業が全国的に見て一般的な事例なのか、それとも特異なのかも知りたいところであった。 3点
・表現 番組の冒頭で、信用金庫職員の自転車に乗っているところから始まり、最後は信用金庫支店を空中から撮影している。これらのカメラアングルは良い。ときどきBGMが流れるが、取り上げているテーマの深刻さをやわらげる作用があり、リラックスさせてくれる。 5点
 
土井系祐
・構成 町の金融機関として親しまれてきた信用金庫と2つの零細企業の関係を通じて、不良債権処理のために作られた新たな金融ルールによって零細企業にも貸し出しが制限される厳しい実状を伝えている。 3点
・論理性 金融庁の金融検査マニュアルは、大手銀行健全化のために作られたものであり、それをそのまま当てはめると、貸し手がいなくなると不満を持つ信用組合。ベンチャー企業などの新しい動きなどは、全くないのだろうか。 2点
・新奇性 金融庁のやり方に対する不満は、いろいろと聞いていたが、具体的な事例によって、実態がよく理解できた。 3点
・広範性 金融庁がなぜこのような非情なやり方に徹するのかということについて、聞いていない。また、エコノミストの発言などもあってもよかったのではないか。 2点
・表現 使われている音楽が、悲哀を感じさせる。ネジが大写しになり、悲劇的なピアノの音が流れる。 3点
 
古川園智樹
・構成 最初に下町の1つの信用金庫と1つの零細企業の実態を紹介して、いかにお金が回っていないかを説明している。そしてその原因が金融庁の金融検査マニュアルを画一的に適用するために生じていることを明らかにしている。金融庁の資料のみならず、インタヴューなどでも明らかにしている。そして最後に、様々な零細企業がその原因を含めていかに経営が苦しいかを説明し、決済日直前には非常に苦労していることを紹介している。全体的に下町の実態を紹介する番組である。
3点
・論理性 下町にお金がまわらない原因が金融検査マニュアルの画一的な適用であることは、実態からも論理的に明らかになされている。ただ番組の趣旨としては、全体としてそういった論理にのっとって実態を紹介するものなので、論理性をこの番組で問うのはやや酷であると言える。全体として、特に論理性に問題は無いが、この番組自体は論理性をあまり問題にできない番組であると言えよう。
3点
・新奇性 金融検査マニュアルの画一的な適用が零細企業にダメージを与えているという話は、愚弟的な話も含めてかなりありふれており、あまり新奇性は感じられない。個々の企業の問題点はおもしろいが、それは具体例に必ずある面白さである。また責任問題にもならず、全体的に零細企業にいかにお金がまわらないのかを、金融機関を悪者にしないで、実態を紹介している程度のものである。実態を紹介したのが、かなりありふれていたために新奇性が低いのである。
2点
・広範性 下町の金融事情の個々の具体例は非常に情報が広範にわたっていた。これは前半部分で信用金庫を1つにしぼったことが、かえって情報の広範性を高めることになったのである。これは個々の企業に関しても同様である。特に決済日の苦しさの実態はよりわかるようになっていた。また、課題・改善点もそういった個々の具体的な人々に語らせているために広範におよび、その説得性を増していた。
4点
・表現 こういった企業の生死に関わる問題はたいていおどろおどろしい音楽が使用されてしまう傾向にあるが、この番組ではかえってほのぼのとした音楽をもちいたために、問題を冷静に前向きに捉えようとする姿勢がうかがえた。また金融検査マニュアルもCGを使ってわかりやすく説明していた。ただし、個々の企業の具体例はインタヴューや実際の作業を中心にとっていたために(それは実態紹介という趣旨のためであろうが)やや全体像がわかりにくくなってしまった感はある。ただ番組の趣旨からすれば、特に問題は無い。
3点
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