番組検証結果 
NHKスペシャル(NHK)
(2002年1月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点
NHKスペシャル 「シリーズ21世紀・日本の課題 デジタルマップ日本〜データが語る構造改革の課題」 1月13日 70点/125点 56

「NHKスペシャル」HPへ 番組検証結果一覧(2002年1月分)へ

・番組名 NHKスペシャル(NHK、土日、21:00-21:50)
・番組タイトル 「シリーズ21世紀・日本の課題 デジタルマップ日本
〜データが語る構造改革の課題」 2002年1月13日放送
・内容
(番組HPより)
データマップとは、様々な統計データをもとに、3200余りの市区町村、一つ一つを塗り分けた地図。意外な地域性や、特徴的な場所が浮かび上がってくる。所得や出生率、公共事業などのデータマップをもとに各地を取材し、日本再生への手がかりを探った。
・総合得点 70点/125点
・構成 16点/25点
・論理性 9点/25点
・新奇性 16点/25点
・広範性 16点/25点
・表現 13点/25点
 
草野厚
・構成 出生率、一人当たり所得、外国人労働者、公共事業、高齢者医療、出生率の各データから、日本の構造問題を明らかにするというのが番組の目的。取材VTR、スタジオでの有識者(映画監督、鳥取県知事、経済評論家)討論という流れの進行は、わかりやすい。量的な分析を統計が行い、スタジオのトークが質的な分析を行うという役割分担がはっきりしていたのが、わかりやすい理由だったと思われる。 4点
・論理性 おやっと思われるところもあった。たとえば、和歌山県南部村が一人当たり所得の伸び率第一位だとして、84年から現在までに15年間に3倍になったと伝えられた。その理由として、蜂蜜を使った梅干が成功したからというのだが、説得力をもつには、南部村全体に占める梅干農家がどのくらいかが示されたほうがよかった。しかし、データマップで、ミクロの数字に注目し、別の見方を提示することはできたと思われる。 3点
・新奇性 長野県の、日本一高齢者医療費が低いとか、長寿であるとかは知られているが、全体としては、新たな情報だったと思われる。 3点
・広範性 データについて別の読み方をする人がいてもよかったと思われるが(たとえば、論理性のところでの私の指摘)、番組の流れには逆らうことになっただろう。官僚出身だが、ユニークな取り組みで知られた鳥取県知事のコメントは、具体的でよかった。 3点
・表現 データマップも、公共事業の長期計画も極めて重要な情報だが、やや見難かった。もっと、視聴者の立場から作ってほしい。 2点
 
小野塚征志
・構成 データマップを利用し、様々な成功例、失敗例から、日本再生の策を探るという構成は単純で理解しやすかった。しかし、実際には成功例や失敗例の紹介にとどまり、構造改革の課題を一貫して考察できていたとはいえない。「データが語る構造改革の課題」という題名だったのにもかかわらず、有為な示唆が導出されていたとはいえない。 2点
・論理性 確かに隣り合った市区町村を比較するのであれば、データマップも役に立つかもしれない。しかし、その数値が日本で最も高い(低い)市区町村を抽出するだけなら、マップ化する必要性はまったくない。番組として、そういった利用しかしていなかった以上、データマップの役割を十分理解できるような内容ではなかったといえる。また、誤解を生みかねない説明も少なくなかった。例えば、「地方の農村の方が所得の伸び率が高かった」という指摘があったが、この指摘が正しいかどうか、明らかにはなっていない。コメンテーターとして、映画監督の山田氏が適当だったのかも疑問である。番組の説明と論理がつながらないようなコメントも少なくなかったからである。 1点
・新奇性 いくつかの事例の中には、あまり聞いたことがないようなものもあった。しかし、大半は今までいわれてきたことを裏付けるような事例に過ぎなかった。そもそも全国各地の有為な事例を検証し、その成功体験を学ぶという手法は、使い古されている。各事例から得られた示唆についても、何ら新奇性は感じられなかった。 1点
・広範性 「所得の伸び率が高い地方の農村」など、1つの共通項で括れる複数の事例を紹介し、一般化を図るなど、広範性を確保しようとする努力は見受けられた。しかしながら、全般的には一方的な論理の単純化が目に付いた。コメンテーター3名の全員が地方分権論者という構成にも疑問を感じた。「倒産率」ではなく、「倒産数」を使った点など、地方分権に有利なデータだけを用いたのではないかという疑惑を覚えた。 2点
・表現 背景音楽は使われていたが、気になるほどではなかった。公共事業費など、いくつかのデータでは表が用いられていたが、番組が取り上げたデータについては、上位(下位)5市区町村のリストを提示した方が、わかりやすくなったのではないか。データの出典について、調査を行った省庁の名称だけが字幕で表示されていたが、可能であれば調査報告書名(国勢調査報告など)も表示すべきだったと思う。 2点
 
小峯弘靖
・構成 CG処理した地図を使い、所得の伸び率、出生率、ホームレス、外国人労働者、老人医療費、出生率など自治体ごとの差異をまとめている。ゲストの中に鳥取県知事が出ていたが、47ある都道府県でなぜ鳥取知事なのか知りたい。 3点
・論理性 「データマップに注目して」という紹介であったが、田中直毅氏は経済評論家でありながら、21世紀政策研究所の理事長である。データマップを作成した21世紀政策研究所に所属する人物がマップに注目するのは当然であろう。山田洋次氏は「商店街でシャッターが閉まっているところが多かった」ということであったが、具体的にいつなのか指摘がほしい。全体的にゲストは感想(昔は良かっ的な郷愁)が多く、かつ対案を提示しておらず、消化不良的な番組になっている。
1点
・新奇性 データマップを取り上げたという点。しかし、番組制作者達がオリジナルで作った訳ではないので、4点にしたい。 4点
・広範性 所得の伸び率、ホームレス、外国人労働者、公共事業費、老人医療費、出生率など、まさに広範囲に渡っている。 5点
・表現 データ分析というよりかは、キャスター達の派手なワードローブ、BGMが頻繁に流れるなどドラマ性を強調した演出になっている。 3点
 
土井系祐
・構成 3,246の市区町村を地図上で色分してみると、全体的な傾向があるものの、一つの町や村で、地域の中で突出している例があり、その理由について、取材している。興味深い結果が現れてくる。 4点
・論理性 デジタルマップはどれも興味深かったが、所得伸び率などの場合は、何年から何年までの範囲と限定する仕方によって、かなり結果が異なっているであろう。一番伸びたところなどを取材している。たくさんの要因がかかわっており、日本再生への手がかりを探り出すというほど、明快ではなかった。 3点
・新奇性 デジタルマップは新しい構造改革用の基本的なツールとなるのではないか。非常に広範な用途が考えられると思った。 4点
・広範性 スタジオに呼ばれたコメンテーターは、鳥取県片山知事と山田映画監督と経済評論家の田中直毅氏。なぜ、この人たちでなければならないのかは、結局わからなかった。 3点
・表現 3,246の市区町村を地図上で色分したデジタルマップ。いろいろなCGも別途使われており、判りやすい演出となっていた。しかし、取材ビデオに対するスタジオでのコメントはあたりさわりのないものであり、デジタルマップのデータを活かしきれてはいなかったように感じた。 3点
 
古川園智樹
・構成 日本全国を3,246の市区町村に分け、それぞれの出生率、ホームレス数、一人あたり老人医療費、外国人の増加、所得(伸び率)といったデータに基づいて色分けされたマップを見ながら、それぞれの項目における最高・最低の市区町村を比較していくという構成は、明確だった。しかし、その結果何をしたいのかがまったく見えてこない。番組冒頭で述べられた「日本再生へのヒントを探る」というのは、番組中の豊富な情報から視聴者が自分で考えることはできるかもしれないが、少なくとも受動的に観ている限りでは、それぞれの市区町村の特徴がわかるにすぎない。 3点
・論理性 番組の基本的なスタンスは、それぞれの項目(上記の、所得や医療費等)の値が主に最高と最低の市区町村に焦点を当て、その理由を解き明かしていくというもの。理由の解明だけであれば、個々の特徴のみに注目すればよく、話も簡単で、その意味ではわかりやすかった。しかし、その後がまずいと思う。最高と最低を比べて、「何が違うのか」を短絡的に導き出してしまっているからである。地域や地方が異なるのだから、違いが出るのは当たり前で、その違いは、一言で言える理由からではないはずである(例えば、出生率が2.58の鹿児島県和泊町と、1を切る東京都目黒区を比べ、同列に論じることには意味がない)。また、往々にして最高(最低)の市区町村は「特徴的過ぎて」、参考にならない。少しでも「ヒント」を得たいのであれば、最高と最低の比較ではなく、値が高いグループと低いグループそれぞれに共通点を見出すなど、他に手段はあり得たはずである。 1点
・新奇性 今回のようなマップを作るには相当な労力が必要だったはずで(マップ作り自体はNHKではない)、その客観的なデータを元に番組を展開していくという構成は、新たな試みということで、最大限に評価したい。しかし、番組の部分部分は「旧来型」と同じに見えたのが残念だった。個別の市区町村に焦点を当てた時は、普通のドキュメンタリーと同じような作りだからである。 4点
・広範性 90分という長い時間枠もあり、提供された情報は豊富だった。しかし、番組を通して何らかの「全体像」、特に番組のメッセージである「日本の課題」という意味での全体像は、まったくわからなかった。言わば、非常にたくさんの「断片」が集まって構成されていて、全体に焦点が当てられることも、出演者(キャスターと2人のゲスト)によって触れられることもなかった。せっかくの試みなのだから、1回で焦点を当てるテーマを絞り、その代わりにそのテーマに関しては広範な情報を提供するかたちで、シリーズ化すれば面白いと思う。 3点
・表現 マップの映像や、マップを鳥瞰する時の音楽は、適切だったと思う。番組を観ながら、最も気になったのは、「このマップを入手することはできないのか」ということだった。番組のホームページからはアクセスできない(2002年3月現在)が、実は、マップ製作元の「21世紀政策研究所」のページに行けば容易に手に入る。調べた結果、番組放送直後には番組のページにも載っていたと思われるが、なぜ紹介を止めたのか、わからない。 3点
TOP↑