番組検証結果 
NHKスペシャル(NHK)
(2001年10月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点 備考
NHKスペシャル 「揺れる精神医療〜措置入院・現場からの報告」 10月20日 79/100点  
「アフガニスタン 〜冷戦と聖戦の大地」
10月27日 72/100点  

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・番組名 NHKスペシャル(NHK、土日、21:00-21:50)
・番組タイトル 「揺れる精神医療〜 措置入院・現場からの報告」
2001年10月20日放送
・内容 精神障害を持っているために自傷他害の恐れがある人は、措置入院という対策が取られる。この問題は大阪で起きた児童殺傷事件の契機に議論が活発化している。事件の再発を防ぐために何ができるのか、模索が続く医療現場に密着取材している。
・総合得点 79点/100点
・構成 22点/25点
・論理性 20点/25点
・広範性 19点/25点
・演出 18点/25点
 
草野厚
・構成 池田小学校児童殺傷事件で、あらためて問われている措置入院のあり方について問題提起した番組だが、措置入院がよく理解されていない部分があるために、全体として、一回見ただけでは、十分にメッセージが伝わってこないところがあった。もっとも、この分野に関心をもっている人々には、当然の話も多かったと思われる。措置入院中の患者の実態、治療の実態が明らかになった意義は大きい。しかし、最後に、精神障害者による被害者の会の弁護士と、患者の人権を守る会の代表にコメントさせただけで終わりにしたのは、奇妙に感じた。そもそも、こうした二項対立はよくないとして、番組が作られたはずだからである。 3点
・論理性 全体として、やや長く感じられたのは、入院加療中の患者の様子などが、たんたんと流されていたためであろう。これらが、措置入院の意味を考えさせる材料にはなっているが、 この病院の治療方法が、一般的なものなのかどうかなど、素人には判断がつかない。
3点
・広範性 他の病院の医師のコメントなどもほしかった。措置入院が、短時間で二人の医師によって決められるということについて、厚生労働省などの意見は、どのようなものか。最後の患者の人権を守る会の代表には、では、精神障害者による被害者の人権についてはどう思うのかなど、聞くべきところをきいていないのは、問題に思えた。 2点
・演出 患者の人権に配慮した、院内の様子は興味深かった。これは、やらせではないかと思ったのは、一度措置入院が解除された患者が、自室にこもって出てこなくなったところである。パトカーのサイレンもなっていたが、偶然が重なったとは、いえ、スクープ映像だった。
4点
 
小野塚征志
・構成 措置入院の現場を紹介するという番組の姿勢は明確だった。宅間容疑者の事例を紹介することで関心を持って見ることができた。また、現状を把握するだけではなく、複数の視点から問題点を把握することができた。 5点
・論理性 宅間容疑者の事例を紹介したことで、問題点が明確になった。綿密な取材を行うことで、措置入院の実状が理解できた。その論理展開は鮮やかで、多様な情報がわかりやすく紹介されていた。取材に基づく情報であったため、その問題提起にも説得力があった。 5点
・広範性 精神病院への取材を通じて、病院側からの分析が行われていた。それだけではなく、犯罪被害者の会の代表幹事である岡村弁護士、大阪精神医療人権センターの山本事務局長へのインタビューを通じ、被害者と患者側からの視点も確保されていた。惜しむらくは、措置入院の実態という面で、いくつか疑問点が残ったことである。例えば、措置入院に要する費用は誰が負担するのか、措置入院の患者の1日のスケジュールはどのようなものか、措置入院の患者数とそれを受け入れる病院数の推移はどうなっているのか、といった疑問に答えられるような情報も紹介して欲しく感じた。 4点
・演出 印象的な音楽、字幕の使い方には多少気になった。精神分裂病など、専門用語については字幕で言葉の意味を説明した方がよかったのではないか。措置入院の仕組みなどを図示したことは、わかりやすさを高める演出だったといえる。 3点
 
小峯弘靖
・構成 「措置入院」にとは、どういうものなのか理解できる。森村理事長のインタビューを取れたのは評価できる。2ヵ月に渡るさわ病院での密着取材も評価できる。措置入院にさせられた人がどのような治療を受け、どのように社会復帰をしていくのかがわかった。番組を通して、患者の治療と社会復帰が容易ではないことを痛感させられた。 5点
・論理性 他病院、行政との情報交換が積極的に行われていないとのことであったが、情報交換のまずさについての事例の紹介と考えられる対策の提示がほしい。「事件の再発防止に何ができるのか」という点については、さらなる考察が必要である。 3点
・広範性 犯罪被害者の会岡村弁護士と大阪精神医療人権センター山本氏の密着取材に関するコメントは、この番組の客観性という観点から評価できる。 4点
・演出 司会者が座っている前の机に資料が置かれていたり、ビデオが置かれている棚が司会者と記者の後にあったりと、見ていて窮屈さを感じた。冒頭と最後の音楽は、視聴者を不安にさせるので必要はない。 3点
 
大沼健太郎
・構成 精神障害者の自傷他害への対応として取られている措置入院の現状を通して、精神障害者の人権保護と社会の安全のバランスをどう取っていくべきかという問題提起を行っている。医療制度と法制度の狭間に位置するこの問題の現状を紹介することで、議論を巻き起こそうという番組からのメッセージは非常に明確である。 5点
・論理性 措置入院の制度としての問題点を、精神障害者への治療の実例を通して明らかにしている。問題の所在を明らかにし、有識者の意見紹介を踏まえて、この問題に正面から取り向くべきだという問題を提起しており、論理性は明確かつ論理的である。 5点
・広範性 精神障害の患者と医師だけではなく、犯罪被害者を助ける立場の弁護士、精神障害者の人権を擁護する立場の市民団体の意見も集めている点が非常に評価できる。司法や警察、世論からも意見を集めることが出来ればより完成度が高まったのではないか。 4点
・演出 患者や家族の了解を得たことを番組冒頭で伝えている点は非常に評価できる。暗い画面が多かったように思えるが、内容上仕方がない部分もあろう。 4点
 
土井系祐
・構成 池田小学校での児童殺傷事件を引き起こした宅間被告は、前歴として薬物混入事件などを引き起こしていたのに、措置入院によって精神異常とされて服役を逃れ、すぐに社会復帰してしまっていた。現場が抱える問題について、具体的事例を通して報告している。 4点
・論理性 医療制度と司法制度の狭間にいるような犯罪者をどのように取り扱えばいいのか。精神障害者の人権と社会の不安の両方について取上げ、視聴者に考えさせるつくりになっている。 4点
・広範性 犯罪被害者の会代表幹事の岡村弁護士と、大阪精神医療人権センターの山本事務局長は、同じビデオを見て、違った意見を述べている。現場の医療関係者の悩みはよくわかった。 5点
・演出 プライバシーに配慮しつつ、興奮した患者の様子を記録している。専門病院の設立や、措置入院制度の出入り口とも司法の判断が伴うようにするなどの提案部分をパネルでわかりやすくしている。 4点
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・番組名 NHKスペシャル(NHK、土日、21:00-21:50)
・番組タイトル 「アフガニスタン〜冷戦と聖戦の大地」  2001年10月27日放送
・内容 アフガニスタンがなぜ戦争の場となってしまったのか、その理由について、1979年以降の国際政治の情勢を軸に明らかにしている。
・総合得点 72点/100点
・構成 19点/25点
・論理性 17点/25点
・広範性 21点/25点
・演出 15点/25点
 
草野厚
・構成 9月11日の同時多発テロ事件でにわかに注目を浴びることになったラディンがなぜ、登場することになったのかを、冷戦期に遡り描いた番組は、奥行きがあり見ごたえがあった。アフガンになぜ、サウジアラビア人のラディンが拠点をもったのかもよく理解できた。映像中心の間に二回、東大の山内教授の分析がありよかったが、早口なので、ついていけなかった人も多かったのではないか。 4点
・論理性 冷戦期1979年のソ連によるアフガン侵攻、イランのホメイニ革命、エジプトとイスラエルの和平が、イスラム原理主義者を結束させ、その急進グループのアフガンのタリバンに、サウジの大富豪が共鳴した結果という解釈は、論理的である。この解釈は一般的だがアフガン侵攻当時のソ連の参謀副総長や、米国の大使の証言などが示されているので、一層説得力は増した。ソ連は勿論だが、米国の身勝手さの極みは、ソ連が撤退すると、それまで面倒をみてきたアフガンゲリラへの支援を打ち切ったことだった。冷戦時代、米ソの関心をうまくつなぎとめることで、援助を受けてきたアフガンからは想像もできない米国の態度であったろう。 4点
・広範性 この番組の特徴は、アフガン侵攻時の旧ソ連関係者へのインタビューや、アフガンのタリバンが国連制裁の解除を求めて米国で外交活動を行っている様子など貴重な映像が含まれている点である。番組で使われなかった未編集の映像も見てみたいという気になる。また、米国の企業がタリバン側に接近して、そのことが米国のNGOや、当時の国務長官に批判されている様子も貴重な映像と思った。 5点
・演出 人の証言の際のカメラワークだが、副参謀長も大使もずーっとアップばかりで退屈だった。何度も映像が使われたのだから、引いて撮ったり、接近したりと工夫が必要に思われた。 3点
 
小野塚征志
・構成 番組冒頭で1979年というキーワードを提示し、1つの視点を設けたことで、わかりやすい構成になったといえる。しかしながら、具体的に何を取り上げ、検証しようとしているのか、番組としての姿勢が不明確だった。今回の連続テロに至るまでの経緯ということであれば、過去のテロの経緯をもう少し丁寧に追うべきである。アフガニスタンとアルカイダの関係を検証したいのであれば、アフガニスタンの政治事情に関する説明をもう少し詳しく紹介すべきだった。 2点
・論理性 アフガニスタン侵攻時のソ連軍参謀副総長、米国の駐パキスタン大使、CIA職員などのインタビューは貴重な情報だった。しかし、タリバンやアルカイダに属していた人物のインタビューがなかったことは残念だった。結局のところ、タリバンやアルカイダを外から観察し、大雑把に経緯を紹介しただけに過ぎないといえる。アルカイダがタリバンを乗っ取ったことが原因だとするのなら、アルカイダが無謀な連続テロを志向した経緯を明らかにすべきだった。連続テロを行った結果、米国はアフガニスタンに軍事侵攻したわけだが、その点をアルカイダは考慮しなかったのか。何らかの戦略の一環だったのか。あるいは、ジハードという理念に従っただけなのか。番組の最後の部分で、今後の動向に議論を移しているが、論理が飛躍しているように思えた。 2点
・広範性 情報は豊富だったが、公平性が確保されていたとはいえない。タリバンやアルカイダに属していた人物のインタビューがなかったからである。一部特定のインタビュー対象者の主張に番組全体としての議論が引っ張られていた点も指摘できる。 2点
・演出 演出は全般的に控え目だった。複雑な歴史的経緯、国際関係を説明する際には、年表や図表などを適宜提示した方がよかったのではないか。 2点
 
小峯弘靖
・構成 歴史的な視点から番組を展開している。過去の出来事が今回の米国によるアフガニスタンへの攻撃につながっているという視点は、視聴者に対する教育的な意味合いがあり、良い出来映えになっている。 5点
・論理性 歴史的な説明なので、論理性について評価ができない。 3点
(?)
・広範性 ソ連軍副参謀総長、元駐パキスタン、元CIA職員、医師のインタビュー、元パキスタン情報部長官、グッティエーア博士、前国連政務次官、そして山内教授の分析があり、情報がふんだんに織り込まれている。 5点
・演出 過去の映像が中心になっている。問題があると思われる映像は見当たらない。 4点
 
大沼健太郎
・構成 小国・アフガニスタンがなぜ戦争の場になってしまったのかを、国際関係論の視点から明らかにしている。しかし複雑な問題を複雑なまま提示しており、分かりやすさに欠けている。 3点
・論理性 アフガンの歴史を国際政治の中に位置付けて議論している。しかし歴史の解釈を山内・東大教授に一任している。より様々な視点からの解釈、分析が必要だったのではないだろうか。 3点
・広範性 アメリカ側、ソ連側、ビンラディンをよく知る人物など、様々な人物に取材を行っており、情報の広範性は高い。 4点
・演出 特に問題となるような演出は見られなかった。しかし各国間の関係性などを図示すればより分かりやすくなったのではないだろうか。 3点
 
土井系祐
・構成 9.11テロ事件発生後、多くの人にとって身近になったアフガニスタン問題の遠因、背景を20年間遡って描いており、映像で辿る現代史として、非常にわかりやすかった。大国間の政治状況に翻弄される小国の悲哀が理解できた。 5点
・論理性 米ソ冷戦の前線にあった軍情報部の立役者たちがインタビューされており、説得力があった。また、ビンラディンがジハードへ向ってゆく背景もわかりやすかった。 5点
・広範性 米ソ、アラブ、さらにエネルギー商社ユノカル社の存在など、広範に渡っており、立場の違いとずれていく思惑などが浮き彫りになっている。 5点
・演出 記録映像の解説のために、山内昌之東大教授がスタジオでコメントしているが、最後の締めで、「中東地域の反米感情をどうするのか?」ということと、「日本もアジアの一員として積極的に入っていかなければいけない」という理想論まで、今回の映像以上の根拠が示されずに飛躍している点が、ひっかかった。 3点
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