番組検証結果 
ドキュメント’02(日本テレビ)
(2002年3月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点 備考
ドキュメント’02 「カニ密輸を追う」 3月9日 98点/125点 78.4

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・番組名 ドキュメント’02(日本テレビ、日、24:25-24:55)
・番組タイトル 「カニ密輸を追う」  2002年3月9日放送
・内容 空前のカニブーム。食べ放題、お歳暮、引っ張りだこのカニが今、足りない。ブームを支えるのは、ロシアの輸入船、しかも書類を偽造した密輸が多い。この密輸が安いカニを支えているのだ。しかし、今乱獲がたたってカニが獲れない。暗躍するロシアマフィア、枯渇するカニ、日本人の大好物の危機を追及。
・総合得点 98点/125点
・構成 19点/25点
・論理性 19点/25点
・新奇性 20点/25点
・広範性 22点/25点
・表現 18点/25点
 
草野厚
・構成 買春とカニの密漁を例に、ロシアマフィアの日本への進出ぶりを描いた番組は、日露両国関係者多数の証言がカメラの前でとらえられており、見るものを飽きさせない。特に、密輸船が、稚内で陸揚げを拒否され、留萌に向かうまでの航跡が、ロシア側の機関で補足されていたところが明らかになったのは、映像のインパクトの大きさを感じた。ただ、買春のほうは、前座的な位置付けのようだが、それにしては、結構な取材をしていて、カニとのバランスが悪かった。 4点
・論理性 カニの密漁がなぜ、どのような理由で行われ、また、ロシアの輸出量と、日本側の輸入量に大きな差があるかなどを、段階を追って明らかにした点はよかった。ロシアが捕獲規制をしているにもかかわらず、儲かるので、マフィアが資金源にしていること。積み出し証明書を偽造していること。日本側は形式的に書類が整っていれば、陸揚げを認めていること。実は密漁だということを日本側も知っていること。しかし、稚内の死活問題になるので、やめさせることが出来ないこと。 5点
・新奇性 国会でも取り上げられたのだから、テーマ自身、新たなものという印象はない。しかし、ここまでマフィアが日本市場を標的にしていることは、この番組ではじめて理解できた。
また、あと数年で、サハリン近海のカニは、激減するという指摘は、日本が市場を依存しているだけに、関係者にはショックであろう。
4点
・広範性 なにより、両国の関係者、しかも、表の主人公とともに、マフィアやその周辺の人々を、広範囲に取材していたのが、大変によかった。日本側の大学助教授が、取締りを強化すると、稚内が困ると証言し、最後に、札幌のロシア領事館のスタッフが、海は無限のものではないと述べたことのGAPが興味深かった。 5点
・表現 カメラワークは、望遠でとったり、売春婦へのインタビューでは、きわどい角度からとったりと、かなり、楽しめた。特に、密漁船の航路追跡が面白かった。ただ、税関職員に対する電話インタビューなどは、先方の了解を得て、流しているのか、やや気になった。 4点
 
小野塚征志
・構成 問題を提起した上で、事実関係を論証していく構成はわかりやすかった。北海道のカニ問題だけではなく、福井の問題まで取り上げることにより、俯瞰的な視点は確保されたが、焦点がぼやけてしまったような印象を与えたと思う。途中で論点を整理し、考察を加えておけば、そのような印象を与えることが防げたのではないか。 3点
・論理性 カニの密輸が発生する理由やそれを防ぐことができない事情について、説得力のある説明がなされていた。また、福井の問題も取り上げることにより、日本全体としての問題であることを伝えられていたと思う。しかし、十分な論拠が提示されていたのにもかかわらず、解決策の提示にまでは至っていなかった。有識者にインタビューし、解決策を示唆してもらってもよかったのではないか。 4点
・新奇性 カニの密輸問題については、既に多くのメディアで報道されているが、複数の関係者の証言を紹介した番組は珍しいといえるのではないか。ただし、全般的に視点や情報などの面で新奇性はあまり感じられなかった。 2点
・広範性 北海道の問題だけではなく、福井の問題も扱っていたこと、あるいはロシア側の関係者も取材したことなどは十分評価できる。また、地元の事情だけではなく、日本政府側の事情や国会での審議も紹介していた。広く情報を知るという面では、非常に有益な番組だったと思う。 5点
・表現 取材日、取材場所を字幕などで表示したことは有益だった。場所については地図まで提示していた。インタビュー対象者の証言についても、字幕で表示し、特に重要な文言や数字については、色を変えて強調していた。 5点
 
小峯弘靖
・構成 日本ではカニの食べ放題など、カニの消費が増加している。これを支えているのがロシアであり、ロシアのマフィアであるという。北海道を中心に、ロシアから日本へのカニの密輸を追った番組であり、密輸の実態とそれを支えているのがロシアだけでなく日本にもいるということがわかる構成になっている。密輸ビジネスに携わるロシアマフィアとその関係者、稚内税務支署、「自由サハリン紙」記者、日本側の関係業者等にインタビューを行い、ロシアから来たカニがどのような経路で消費者に届くのかその実態がわかる。 4点
・論理性 カニの消費が増加している原因についての説明がない。ロシアからのカニの輸入が急増しているのは、需要があるからであり冒頭で述べるべきであった。また、マフィアの活動の1つとして風俗関係があり、関係しているロシア人女性にインタビューを行っていたが、番組のテーマとなっているカニの密輸とは関係がないのではないかと思う。番組の大きなテーマはカニの密輸とその乱獲であったが、後者の乱獲についての説明は十分でなかった。 2点
・新奇性 漁業情報分析センターが、輸送船の航行ルートを把握できているということ。十分な証拠となるはずで、違法輸送船の摘発につながるのではないかと思う。金沢市中央卸売市場で取引されるカニの80%は、ロシア産のズワイガニという事実。北陸地方でのカニ漁は資源の枯渇で減っているという。 4点
・広範性 「ロシアマフィア」という言葉だけが先行し、その実態についての説明がない。「マフィアどうしの争いが絶えない」というナレーションがあったが、複数のマフィアについての説明が必要であった。「積み出し証明書」は偽造であり、ロシア側の証明スタンプが稚内市内でつくられていたことがわかる。密輸はロシア側だけでなく、日本も関係している例になっていた。 3点
・表現 マフィアや関係者の取材で、頻繁に映像の「ぼかし(モザイク)」が使われていた。インタビューをされた側のプライバシーを守るためであろが、もう少しぼかす範囲を少なくしてもいいのではないか。 3点
 
土井系祐
・構成 カニブームの裏で、ロシアからの密輸ビジネスがある。日本人が大好きで需要があるために、乱獲されて枯渇しつつあるカニ資源。驚きの連続である。 5点
・論理性 偽造書類による密輸の現状。税関は、密輸とわかっていても、書類があるとして、入国を認めてしまう。このままではカニ資源が枯渇するということがわかっていても、止まらない。 4点
・新奇性 カニとマフィアの繋がりは意外なものだった。ソ連崩壊以後のロシア経済が、マフィアに牛耳られていると言う話は聞いていたが。 5点
・広範性 ロシアでの調査。稚内などでの税関の調査。金沢でのカニの売られている状況など、広範に渡っている。 4点
・表現 ロシアのマフィアが、密輸のほかにも売春などさまざまな犯罪を進めている様子を、映像で迫っている。密漁船の動きを地図で追っており、わかりやすかった。 3点
 
古川園智樹
・構成 導入部で北海道でのロシアマフィアを紹介して、その資金源がカニであることを説明する。そしてそのカニが主に偽造書類を証拠に、それが密漁・密輸であることを具体的に明らかにする。実際に1つの船の密輸を事例として紹介している。その背景に、日本での需要があることを説明し、カニの乱獲が非常に進んでいることを明らかにしている。導入部のロシアマフィアの紹介から、結論のカニの乱獲までは意外な展開ではあるが、特に問題は感じられない。
3点
・論理性 北海道でのロシアマフィアの活躍、その資金源のカニの密猟・密輸、日本人のカニに対する旺盛な食欲が論理的に説明されていた。特に、カニの密猟・密輸以降に関しては、具体的な証拠(偽造書類・偽造印鑑・航跡など)に基づいていたために、非常に論理的である。ただ、ロシアマフィアに関しては、犯罪組織(本当にそうなのかどうか疑問は残るが)であったためか売春・中古車販売の実態紹介で終わってしまい、いまいちカニの密輸・密猟にどのように食い込んでいるのかが不明確であった。カニ密輸の実態を明らかにすることが番組の趣旨であることを考えれば仕方ないが、もったいなかった。
4点
・新奇性 導入部の北海道にロシアマフィアがかなり関わっている事実も知らなかったし、また北海道での安いカニツアーの背景に、ロシアマフィアと絡んだカニの密猟・密輸があることも全く知らなかった。そしてカニの密猟・密輸には日本人の旺盛なカニの需要があることも、ある料亭などはそうしたカニの密猟・密輸に支えられていることも全く知らなかった。番組で紹介される1つ1つの事実が知らなかったことばかりで、新奇性が非常に高く、大変興味深かった。
5点
・広範性 1つ1つの部分に対して細かい情報を提供しており、情報が非常に広範にわたっていた。個々の事例に対しても情報が非常に広範にわたっていたが、それのみならず、カニ密輸の全体像を探るために、統計情報や国会での政府答弁を紹介していた点が非常に良かった。番組で紹介されている以外にも、番組作成のために情報を広範に収集しているのではないかと思わされる番組であった。
5点
・表現 音楽が若干おどろおどろしい場面がいくつかあった。特にロシアマフィア(この表現自体が正しいのであろうか?)を紹介する場面ではそういった場面が多く、そういったことも含めてロシアマフィアを実態以上に説明しているのではないかという疑問が残った。ただし、偽造書類や偽造印鑑を実際に見せたりして具体的な証拠を示したり、航跡や日本とロシアの統計上の差異をグラフや図を使って明確に示すなど、非常にわかりやすく、誤解を招かないような工夫をしている場面もいくつかあった。問題のある場面もあったが、逆に表現のいい場面のあったので、全体としてはプラスマイナス3点である。
3点
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