番組検証結果 
ドキュメント’02(日本テレビ)
(2002年2月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点 備考
ドキュメント’02 「育てなおし〜思い残し症候群」 2月10日 79点/125点 63.2

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・番組名 ドキュメント’02(日本テレビ、日、24:25-24:55)
・番組タイトル 「育てなおし〜思い残し症候群」  2002年2月10日放送
・内容 『思い残し症候群』…これは「幼い頃こうして欲しかったのに」という親への強い欲望が残り傷となる「心の病」だ。
香川大学の岩月教授は『育てなおし』という独自の方法で幼少期に空いてしまった穴を一つ一つ埋めていく。肩車やほ乳便による授乳…異端ともいわれるカウンセリングに密着、現代社会が抱えた病理を考える。
・総合得点 79点/125点
・構成 18点/25点
・論理性 16点/25点
・新奇性 17点/25点
・広範性 14点/25点
・表現 14点/25点
 
草野厚
・構成 一般には馴染みのない、しかし、悩んでいる人も多い「思い残し症候群」が、どのようなもので、どのような治療法があるのかを、患者を長期に取材しながら報告している。まったく知識がなかった私でも、一応の理解ができた。ただ、こうしたカウンセリングの方法が、学問的にどこまで確立されたものなのかなど、一言ほしかった。というのも、カウンセラーの教授が患者に、また患者が教授に接する態度は、治療という前提意識がなければ、誤解する可能性が強いシーンが続いたからだ(おむつを替えたり、キスをしたりなど)。
3点
・論理性 親の愛が欠如しているために生じる「思い残し症候群」(子供のときにしてもらえなかったことをしてもらいたいという気持ち)だが、各患者から、幼少期に性的虐待をはじめ、親からいやがらせの言葉(お前なんか生きた屍だ)を受けた例がいくつも紹介されたので、裏づけはとれたといえるだろう。ただ、成功例が4−5例紹介されただけなので、全国的にみてどうなのか、あるいは、この教授にのみ可能な治療法なのかが知りたかった。
4点
・新奇性 繰り返しになるが、番組に登場した教授のみができる治療法なのか。だとすれば、どう学問的に効果が証明されるのか(もっとも、患者本人が、よくなったといえば、それでよいだろうが)、第三者のコメントがほしかった。 3点
・広範性 患者と教授に長期にわたり密着したレポートは、びっくりさせられるシーンの連続であった。それだけでも新たな情報だが、教授家族が協力して患者を支えるという点も、通常の患者とカウンセラーの関係を超えるものだと思った。 4点
・表現 プライバシー上の制約とはいえ、治療の効果があがっているのかどうか(明らかにそのようだったが)は、患者の表情をみるのが一番である。この点残念だった。しかし、既に結婚もし、子供もいるカウンセリングを受けてきた女性の明るい表情にはほっとした。「子供をみたら愛されているかどうかわかる」という教授の言葉は重かった。 3点
 
小野塚征志
・構成 「思い残し症候群」とはどういうものかということを冒頭で簡単に説明した上で、具体的な事例を見せていく構成は一般的でわかりやすかった。番組の途中で「思い残し症候群」の原因と治療法、及び症状との関係を俯瞰して理解できる視点を設けた方が、よりわかりやすくなったと思う。 4点
・論理性 「思い残し症候群」の原因と治療方法については、実感をもって理解することができた。ただし、症状については、言葉による説明だけだったこともあり、イメージを具体化することが難しかった。とはいえ、概ね論理的な説明だったと思う。 4点
・新奇性 「思い残し症候群」という名称自体は初耳だが、こういった症例については、多くのメディアが扱っている。ニュース番組で特集されることも少なくない。全般的に新しさやユニークさを感じられる内容ではなかったといえる。 2点
・広範性 多数の事例が紹介されており、その点は評価できる。ただし、「思い残し症候群」を俯瞰的に理解できる情報は欠けていた。例えば、似たような事例として「アダルトチルドレン症候群」などを想起できるが、それらとの違いがわからない。また、この番組を見ていると、近年「思い残し症候群」が増えてきたかのような印象を受けるが、果たして本当なのだろうか。問題を俯瞰してみた場合、若干の疑問を覚える内容だったといえる。 2点
・表現 音楽は多用されていたが、気になるほどではなかった。全般的には、実際の音声や映像を可能な限り使おうという姿勢が貫かれていたと思う。インタビュー対象者が症状などを語っていたが、重要な部分については、発言内容を字幕で表示してもよかったのではないかと思う。 3点
 
小峯弘靖
・構成 香川大学教育学部の岩月謙司教授が取り組んでいる「思い残し症候群」の治療についてのドキュメンタリーである。岩月教授とその家族、そして患者に密着取材することによって思い残し症候群の実態に迫っている。治療の映像を見ていて嫌悪感を持ったが、このことはこの番組の構成の成功を物語るものであろう。幼児期に体験できなかった親の愛を、大人になってから実の親でない岩月教授夫妻から受けているという現実。患者自身にとっても、社会にとっても大きな時間のロスである。
5点
・論理性 思い残し症候群の原因は「希薄になった親子関係」とあったが、どうして親子関係が希薄になっていったのか−その原因の提示も必要ではないかと思う。2人の患者から幼児期に「父親から性的な嫌がらせ」があったという発言があった。性的いやがらせと思い残し症候群の関係を詳しく説明するべきである。また、幼児期に愛されたなかったとあるが、子供からの親への欲求・要求をどの程度まで受け入れるべきなのか(中には、単に自分の欲求を満たしたいだけのわがままもあるのでは)疑問を持つ。 2点
・新奇性 治療の実際がわかる。根気よく患者と同じ時間を過ごし、患者が要求することに応えていくしかないのであろう。岩月教授だけではなく、家族一人一人も献身的に教授をサポートしていることがわかる。 3点
・広範性 親はどうあるべきなのか−是非この番組の続編を期待したい。 3点
・表現 「愛情」という言葉の定義がない。何を持って愛情と言うのであろうか。「論理性」でも書いたが、子供からの親への欲求・要求をどの程度まで受け入れるべきなのか疑問と不安が残った。 2点
 
土井系祐
・構成 「育てなおし」というカウンセリングに密着取材している。岩月教授には、毎月300通の手紙やメールが届くという。両親から愛を受けなかったという記憶が、拒食症や自殺願望などになっていく。映像そのものに迫力があって、カウンセリングの必要を理解するが、本当にこの方法が一番良いのか、素人には、よくわからなかった。 4点
・論理性 番組最後で、和子さんという4年間「育てなおし」を受けて、一児の母となった女性が出て来るが、その映像からは事実だという印象を強くした。 4点
・新奇性 「思い残し症候群」という聞きなれない病気について知る。実際の映像を見て始めて深刻さを理解できた。治療法も「育てなおし」という非常に変わったやり方に見えるが、実際に効果があるようだ。 5点
・広範性 他のカウンセリングの先生などに、このような治療方法をどう考えるのか、賛成反対のコメントがあるとよかったのでは。 2点
・表現 音楽が少し耳障り。もう少し、このような病気の実態について、データで補足するとわかりやすいのでは。 3点
 
古川園智樹
・構成 「思い残し症候群」を患う人々と、その治療に挑む大学教授の活動を紹介している。しかし単なる情報提供番組なのか、あるいは「思い残し症候群」が生まれてしまう背景に潜む社会的問題を浮き彫りにしたいのかが明確ではない。番組の趣旨が伝わりにくかった。 2点
・論理性 情報提供を目的としているのか、あるいは社会に対する警鐘を鳴らしているのかが判然としない最大の理由は、番組としての結論を提示していないからである。当然結論につながる論理展開も不明確である。 2点
・新奇性 両親からの愛情が不足しているために起こる「思い残し症候群」という病気があり、その解決策として「育て直し」というものがある、という情報は初めて見聞きするものであった。引きこもりや拒食症、自殺未遂といった社会問題の原因の一つであるという点で、大変興味深く番組を見た。 4点
・広範性 複数の患者、治療に取り組む大学教授、教授をサポートする家族への取材を基に番組を構成している。しかし行政(厚生労働省)や他の医師の取り組み、あるいは難しいであろうが患者の両親への取材を行えば、より多角的に問題を捉えることが出来たのではないだろうか。 3点
・表現 画面上にモザイクが多かったが、番組内容の性格上、やむを得ないであろう。その他には特に問題となるような表現は見られなかった。 3点
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