番組検証結果 
クローズアップ現代(NHK)
(2003年10月放送分)

番組名 番組タイトル 放送日 総合得点
クローズアップ
現代
「国民年金が危ない 〜未納率4割の衝撃〜」 10月2日 53点/100点 53
「EUかアメリカか 〜東欧・ポーランドの選択〜」 10月22日 70点/100点 70

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・番組名 クローズアップ現代(NHK、月−木、19:30-19:55)
・番組タイトル 「国民年金が危ない 〜未納率4割の衝撃〜」 2003年7月10日放送
・内容
(番組HPより)
自営業者やフリーターなどが加入する国民年金。10年前14.3%だった未納率が、去年は過去最悪の37.2%まで悪化し、深刻な状況になっている。
国民年金は、厚生年金など他の基礎年金部分と一括して運用されているため、未納率の悪化は他の年金財政を圧迫する事にもつながる。事態を重く見た政府は、8月4日に特別対策本部を設置、未納率が特に高い全国8県の社会保険事務局と22の事務所を収納対策強化箇所に指定するなど、要因の分析と対策に乗り出した。
この1年で20%を超す大幅悪化となった宮崎県内の事務所と高い未納率に悩む神奈川県内の事務所の取り組みを取材し、未納者の実態とその対策を検証する。
・総合得点 53点/100点
・構成 13点/20点
・論理性 9点/20点
・新奇性 10点/20点
・広範性 11点/20点
・表現 10点/20点
 
草野厚
・構成 国民年金の未納率が40%という深刻な事態の原因と対策を明らかにした番組は、年金制度の仕組みの説明がややわかりずらい以外は、コンパクトに問題を指摘していた。特に、
地方と都会では原因が違うという点は、説得力があった。ただ、処方箋は、解説委員の解説がややあわただしかった。

4点
・論理性 延岡市で急に未納率が急上昇したのは徴収方法が自治会経由ではなく、国の出先である事務所に本人が直接払うようにしたからだという点は興味深かった。都会の川崎市は、年金への不信と、制度そのものへの誤解が原因ということが紹介され、それぞれなるほどと思った。
3点
・新奇性 前述したとおり徴収方法が違ったことによって、急に未納率があがったことを指摘した点。ただし、番組は、徴収方法をもとに戻すかどうかについては、言及がなかったのは残念。 4点
・広範性 未納の原因については、多面的報告だったが、年金制度自体の矛盾についても触れてほしかった。国民年金は自営業者や20歳以上の厚生年金に加入していない人が支払う義務を負い、この部分に未納者が多い。他方、会社員は年金が天引きされ未納ということはない。この矛盾については、番組は指摘していなかったからだ。 3点
・表現 年金の制度についての説明は、もっと丁寧にすべきだろう。ここがわからないと、
誤解が生じてしまう。現に、国民年金の支給開始年齢はもともと65歳だという点が 番組のなかの未納者が誤解していたのだから。
3点
 
土井系祐
・構成 国民年金の未納率の上昇について、都市と地方との別々の要因について説明している。しかし、不信感が大きくなっている年金事業の根本的な制度改革については簡単にしか触れておらず、啓発的な内容が中心となっている。 3点
・論理性 冒頭、制度不信を解消できるのかという点について、問題提起しているが、それについての根本的な疑問に答えきれていないため、見終わって未消化な感じを覚える。また、社会保険事務所職員の未払い者への説得のコツとして、「国がやっていることだから、絶対に潰れませんと言いきる」というのがあったが、そんなことを言ってもいいのだろうか。 2点
・新奇性 主に啓発的な内容であり、新聞や雑誌以上に新しい情報は少なかった。社会保険庁の内部の雰囲気がわかった点は、目新しいかもしれない。 2点
・広範性 年金を集める側の話が中心になっていた。国民年金の穴を埋めている厚生年金の負担の問題や、年金の仕組みの根本的な問題などについても、識者の意見を聞いてみたかった。 3点
・表現 CG等を駆使して、わかりやすく説明する努力をしている。 3点
 
碓井広義
・構成 未納率の高まりは、年金問題のひとつではあるが、年金について視聴者が知りたいことのトップではないはず。啓蒙的な意味は十分にあるが、本筋ではなくサイドストーリーを聞いているような感じを受ける。

3点

・論理性 延岡市の取材VTRの中で、未納率が高い理由として徴収方法が変化したことをあげていた。これで全国的な説明になるのか、疑問が残った。
2点
・新奇性 年金問題は、活字媒体でも相当な情報量が出ている。 2点
・広範性 延岡市と川崎市で取材が行われていた。延岡は、未納率が急に高まったところとしての意味があったが、川崎のほうは内容が希薄。 2点
・表現 特に視聴者にとって分かりやすい表現だったという場面はない。
3点
 
鈴木広崇
・構成 年金問題を特に未納者とその対策に焦点を絞って扱った番組。「制度」と「不信感」という2つの大きな問題が、未納率上昇の背景にあったことは十分理解できた。しかし、その根本にある「本当に年金制度は大丈夫なのか」という問いには十分に答えきれていない印象だ。制度と不信感、それぞれに対応した改善策や対応を、より長い時間取り上げた方が良かったと感じる。よって3点とした。 3点
・論理性 問題視されている若年層側がこの番組を見て「年金は大丈夫」と考えるようになるとは思えない。未納率上昇とその理由は理解できたが、「年金は大丈夫か」という問いに対して、「国がやっている」「国民皆保険」といった理由のみではあまりに説得力が薄いと思われる。(年金問題は非常に複雑であり、あえて避けたのかもしれないが)やはり、ある程度は制度に関する議論にも踏み込むべきだったと感じる。更にいえば、インタビューを見ると若年層は制度云々よりも、単純に「払いたくない」といった、番組が問題点としてあげた理由とは若干ずれた点を理由に挙げている。その点への言及も欲しかった。「不信を解消できるか」との問いに十分に番組として答えられていないと考え、2点とした。 2点
・新奇性 特に目新しい情報は無く、従来報道されている内容が大部分を占めていた。ただ、若年層への家庭訪問などに対応すべく勤務時間を変更する様子などは初めての情報だった。 2点
・広範性 番組としては未納率上昇とその対応を番組の中心に据えていた。ただ、個人年金や給付額それに厚生年金との関係なども重要な問題であり、未納率と深い関係があると思われる。制度を巡る議論も同様にだ。それらについても言及が欲しかった。 3点
・表現 CGを用いて未納者や厚生年金と基礎年金の違いを説明していた。未納の理由についてもテロップなどで整理しても良かったと思われる。 3点
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・番組名 クローズアップ現代(NHK、月−木、19:30-19:55)
・番組タイトル 「EUかアメリカか 〜東欧・ポーランドの選択〜」 2003年10月22日放送
・内容
(番組HPより)
独仏がイラク戦争開戦に反対する中、アメリカ支持を強く打ち出し、国防長官に「新しいヨーロッパ」と称されたポーランド。
来春、EUに加盟する同国は、ドイツなど欧州との経済的な連携を強めてきたが、ここに来て、アメリカに急速に接近。新戦闘機としてF16の購入を決め、米企業の大規模な誘致を進めている。旧国営車両工場はGMに買い取られ、欧州での新車生産の新たな拠点となった。政治的にも親米路線を強め、イラク戦争でアメリカを支持した後、現在、米英と並んで"戦勝国"としてイラクの治安維持を統括している。こうした構図は、同様に新しいヨーロッパと呼ばれる周辺諸国に共通しており、フランスなどは不快感を隠さない。
「旧ソ連圏の大国」から拡大EUの一員へ。そして「親米」へと大きく舵を切ったポーランドの取材を通じ、ヨーロッパでの大きな変化を見つめる。
・総合得点 70点/100点
・構成 14点/20点
・論理性 15点/20点
・新奇性 14点/20点
・広範性 13点/20点
・表現 14点/20点
 
草野厚
・構成 多くの人が疑問に思っているはずのポーランドの米国への接近の理由はある程度わかった。また、フランスなどが、EU加盟を決めたポーランドの米国寄り姿勢に懸念を抱いているのもわかった。歴史的にポーランドがとどってきたことと関連がある。番組自身は非常に単純な構成。ほとんどポーランドの大統領へのインタビューと、ベルリン支局長の解説で終わり。 3点
・論理性

最後までわからなかったのが、ポーランドの国民が、欧州で吹き荒れている反米の波にどう左右されているのか。されていないとするなら(番組はその点についてほとんど触れていないので、たぶんされていない)なら、その理由はなにかをもっと聞きたい。単に、米国の経済面での支援と投資への期待だけでは、やや不足の気がする。米国に数多くのポーランド人がいるというのも事実だが、それだけでは納得できない。もっとも、欧州をけん制するためだとは番組でいっている。

3点

・新奇性 ポーランド大統領へのインタビューというのは、その中身は別にして貴重だった。あまり風采のあがらないおじさんが、ずいぶんと大胆な決断をくだすのだなと思った。
4点
・広範性 通常の番組とは逆に映像素材が少ないので、番組づくりに苦労のあとがしのばれる。ベルリン市局長の解説はよくわかったが、やはり、ここでも政府の米国寄り姿勢について国内の反応について触れていない。なぜだろう。 3点
・表現 やはりキャスターと支局長のやりとりだけでは退屈な気がした。支局長が話している間
画像を挿入することはできたはずだ。いずれにせよ画像が少なく、制作者には厳しい条件下での番組づくりだったのではないか。
4点
 
土井系祐
・構成 2004年5月にEUに加盟するポーランドに対して、米国が接近している理由とそれにポーランドがこたえることで、独仏と軋轢を生んでいる事情について、クワシニエフスキ大統領のインタビューなどの映像と記録映像をふんだんに使って解説する。 4点
・論理性 独仏が中核にあるEUで、米国カードを使って発言権を確保したいポーランドと、巨大化するEUを牽制したい米国の利害が一致し、イラク戦争をめぐって揺れる国際関係の中で、蜜月が続いている様子を描いている。米国製兵器の購入と引き換えの米国投資の増加など、よく背景が理解できた。 5点
・新奇性 クワシニエフスキ大統領のインタビューや、駐ポーランド米国大使のクリストファー・ヒル氏が政府に食い込んでいる様子など、興味深い映像が多々あった。 4点
・広範性 ポーランド政府、米国政府、市民の様子や、イラク戦争反対デモの様子など、さまざまな資料映像を入れており、かなりバランスはとられていたと考えるが、EU重視派の意見などもあるとさらによかったのでは。 4点
・表現 1946年のチャーチル首相の「鉄のカーテン演説」からはじまって、往年のワレサ議長の映像や、さらには最近のラムズフェルド長官による「古いヨーロッパ」発言などが編集されており、ポーランドの現代史の背景が理解しやすくなっている。 4点
 
碓井広義
・構成 EUの一員でありながら、親米路線を続けるポーランドの現状をリポート。ポーランドだけでなく、アメリカ側の思惑も紹介していた。 3点
・論理性 安全保障を第一と考え、ロシアやドイツへの警戒心から、アメリカとの関係を深める事情は伝わってきた。 3点
・新奇性 国際政治の一端を垣間見せてくれたことはいいが、なぜ、今、ポーランドの問題を取り上げるのかが、最後まであまり明快ではなかった。 2点
・広範性 アメリカの自動車工場なども登場していたが、全体はポーランド国内での取材。それも政府側のものがほとんどで、国民の声は聞こえてこなかった。 3点
・表現 表現として、特に注目すべき点はなかった。 2点
 
鈴木広崇
・構成  EUとアメリカとの狭間で自国の発展を目指すポーランドを扱った番組。ポーランドの近年の発展とEU・アメリカ双方との関係をVTRを中心に紹介した後、クワシニエフスキ大統領のインタビューとスタジオ解説を織り交ぜ、ポーランドの狙いやEU・アメリカの思惑について整理していく構成。EU・アメリカ双方の間で自国の発展を目指すポーランドとその背景が十分に理解できた。
 クワシニエフスキ大統領へのインタビューも、ポーランドへの十分な理解が無ければ、それ単体では十分な意味を持たない可能性があるが、スタジオでの解説と交互に聞くことで、その発言の趣旨等をよく理解できた。
 よって4点とした。
4点
・論理性  ポーランドの行動をEUとアメリカという2大要素を軸に、経済・安全保障・外交と幅広い角度から解説しており、論理性は高いと思われる。よって4点とした。
 特にF16戦闘機導入とそれに対する見返りとしての経済支援という図式は、EU加盟国であるポーランドが何故アメリカに接近したいのか、その理由を説明する上で分かりやすい事例だった。これに関連して、『拡大EUの東の要ポーランドを手始めにEUに切り込みたいアメリカ』と『アメリカの後ろ盾を背景に独自の影響力を発揮したいポーランド』というナレーションによるまとめも、番組全体を整理する上で有用であった。
 ただし、番組ではポーランドは国益重視で親米だとしていたが、一方で反アメリカを唱えるデモや『弱い政治力』といった紹介もされていた。これらの点への言及が少なかった点が、やや気になる。
4点
・新奇性  ポーランドがEU加盟を果たしながらアメリカと接近する理由だけでなく、それに対するEU・アメリカの思惑も知ることができた。特にクワシニエフスキ大統領へのインタビューと同大統領とヒル大使とのやりとりなどは、初めて見るものであった。よって4点とした。 全体としてはVTRやインタビューを中心に、幅広い角度からポーランドの現状を紹介していた。ただし、論理性でも取り上げたが、反アメリカを唱える勢力や国内情勢については(失業率やインフラ整備への言及はあったが)総じて扱いが少なかった点がやや気になる。国をあげて親米というわけではない点で、やや消化不良な印象が残ってしまった。 4点
・広範性 日本がアメリカ支持を打ち出す背景は理解できた。これは構成や論理性によるところが大きい。ただし、広範性も同時に高いかというと疑問だ。その最大の原因は、反アメリカ的な立場からの主張が取り上げられていない点にある。国連を舞台に米対欧州といった対立構造までもを生み出した問題であるだけに、できるならば反アメリカ的な意見も採り上げて、広範性を高めるべきであったろう。 2点
・表現 インタビューをただ流すのではなく、解説と織り交ぜながら紹介する手法は、いささか冗長になるきらいもあるが、今回は有用であったと思われる。 4点
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